北ヨーロッパ学会 2021年度研究大会

 

2021年度の研究大会は,名古屋工業大学を開催校として,次の要領で開催します.

 

日時:11月6日(土曜日) 9時より17時30分まで

場所:オンライン

 

プログラム概要

(詳細はこちらから)


9:00-10:30 セッションI

休憩

10:40-12:10 セッションII

昼休み

13:10-13:40 総会・会長挨拶

休憩

13:50-15:50 共通論題(一般公開)「北欧諸国の高等教育における学問の自由と研究体制」

休憩

16:00-17:30 セッションIII

休憩

17:40より1時間程度 オンライン懇親会

共通論題の一般公開について


北欧諸国における学問の自由や学術・研究体制のあり方について,学術的な見地から検討することを目的として,本大会では共通論題「北欧諸国の高等教育における学問の自由と研究体制」を企画しました.この問題に対する社会的な関心の高さに鑑みて,今年度の共通論題は一般公開(無料)により開催します.

 

※申し込みを締め切らせていただきました.

企画趣旨

 2020年10月、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック渦中の日本で、日本学術会議の新規会員として学術会議が推薦した105人の候補者のうち6人の任命を菅義偉首相が拒否したということが大きく報道され、学問の自由や表現の自由の観点から多くの研究者や学会が懸念を示す事態となった。同じ頃、欧州連合(EU)加盟27か国の学術研究担当大臣らが、ハイブリッドで開催された欧州研究圏大臣会議において「研究の自由に関するボン宣言」 を採択した。背景に、反動的な強権政治が展開されているハンガリーとポーランドにおいて大学における学問の自由を侵害する事件が生じたことがある。本宣言は、冒頭で「研究の自由は普遍的な権利であり公共財である。」との認識のもと、「思想の自由と知的創造性には、個人一人ひとりの自由と安全も必要である。」と述べている。またCOVID−19に関するフェイクニュースに対応し、「事実の歪曲や偽情報の拡散に対抗するため、科学的プロセスや成果を伝達し、社会との対話を進めようとする学術団体の取組を、我々は奨励し支援する。科学への信頼は、包摂的で開かれた民主主義社会への鍵である。」としている。2020年11月19日には欧州高等教育圏(EHEA)の教育大臣もベラルーシにおける大学教員と学生の学問の自由の侵害に抗議し、EHEAにおける基本的価値としての学問の自由の擁護に関する声明を発表した 。これを受けて、スウェーデン、ノルウェー、デンマークとフィンランドでは自国の学問の自由に関する法規定を強化する動きをみせている。

 北欧諸国は、高等教育制度に共通点が多く、欧州の中では学問の自由の度合いが高いが、大学のガバナンスと組織、予算、人事、教育・研究の自治に関しては相違もみられる 。共通論題では、スウェーデン(武)、ノルウェー(長谷川、Olsen)、デンマーク(坂口)、フィンランド(矢田)をそれぞれフィールドとする教育研究の専門家に、近年の社会・経済の変化に対応した高等教育改革によって大学と研究者・学生の学問の自由にどのような影響が生じているか、各国の学術団体の構造とともに検討し、日本と世界への示唆を探る。

論題

武寛子(神戸大学)スウェーデンにおける大学改革と学問の自由

坂口緑(明治学院大学)北欧諸国の高等教育における学問の自由と研究体制:デンマークの場合

長谷川紀子(トロムソ大学)・Torjer A. Olsen(トロムソ大学)ノルウェーにおける高等教育機関とアカデミック・フリーダム

矢田匠(フィンランド国立教育研究所/ユヴァスキュラ大学)フィンランドにおける学問の自由と研究体制

 

司会:澤野由紀子(聖心女子大学)

討論:鈴木賢志(明治大学)